浜田山で愛される「Tha Chang」母から娘へ、コロナ禍に繋いだ“本場のタイ料理”とアットホームな空間

京王井の頭線・浜田山駅のホームから見える、温かな光が漏れるタイ料理店「Tha Chang(ターチャン)」。2021年というコロナ禍の真っ只中にオープンしながらも、今や地元の家族連れや仕事帰りの人々で賑わう、地域に欠かせないスポットとなっています。

20年前に西荻窪でタイ料理店を営んでいたお母様の「もう一度お店をやりたい」という夢を、娘である安藤さんが「親孝行」として実現。とんかつ屋の居抜きを自らDIYし、お母様の味をベースにした豊富なメニューと、何より安藤さん自身の明るい人柄が、人々を惹きつけます。

今回はオーナーの安藤さんに、開店の経緯から、地元・浜田山で愛されるお店づくりの秘訣、そして今後の展望について、詳しくお話を伺いました。

目次

「いつか死ぬまでに」—20年の時を経て、母の“タイ料理店をやりたい”想いを実現

ケージー: 本日はよろしくお願いします。Tha Changさんは、まずオープンされた経緯からお伺いしたいです。

安藤さん: よろしくお願いします! もともと、母が20年前に西荻窪でタイ料理店をやっていたんですよ。

ケージー: あ、そうだったんですね!

安藤さん: そうなんです。でも、それはもう7年、8年……いや、20年近く前に閉じていて。母はもともと料理を作って友達に振る舞うのが好きで、家でしょっちゅうパーティーみたいにやってたんです。

ケージー: 料理がお好きなんですね。

安藤さん: それで、母が「またお店をやりたいな」ってずっと言ってて。「いつか死ぬまでにできたらいいなあ」みたいな感じで(笑)

ケージー: 安藤さんご自身は、それまで飲食業を?

安藤さん: いえ、私は全然。もともとネイリストをやっていて、その前は夫の仕事を手伝いながら、スーパーのサミットでレジ打ちしてました(笑)

ケージー: まったく違う業界から!

安藤さん: そうなんです。でも、母のその言葉を聞いていて、ちょうどいい物件が地元で出たので。「じゃあ、やっちゃう?」みたいな感じで。これはもう、完全に親孝行ですね

選んだ場所は地元・浜田山。コロナ禍のオープンは「逆にチャンスだった」

ケージー: お店を始められたのが、2021年頃と伺いました。まさにコロナ禍の時期ですよね。

安藤さん: そうなんです。コロナ禍に始めました(笑)

ケージー: 不安は大きくなかったですか?

安藤さん: それが、通常の状態を知らないから、何もダメージがなかったんですよね。「飲食店って、こんな感じか」みたいな

ケージー: なるほど、逆に(笑)

安藤さん: むしろ、皆さん遠くに行けないから、リモートワークにもなって。「地元に新しいお店ができたぞ」って、逆に興味を持って来てくれたんです。

ケージー: 地元が浜田山なんですね!

安藤さん: そうです、地元です。ここは前がとんかつ屋さんで、居抜きで借りました。

ケージー: コロナ禍ということで、テイクアウトも最初から?

安藤さん: はい、「コロナだからテイクアウトだよね」って感じで、最初から全部持ち帰れるようにしました。本当にコロナを駆使しましたね(笑)

母の味をベースに、ベストを尽くす。プーパッポンカリーと豊富なメニューの魅力

ケージー: お店の味は、お母様のレシピがベースになっているんですか?

安藤さん: はい、「でした」って感じですね(笑)最初は母も一緒に厨房に立って作ってたんです。 でも、やっぱり母ももう60代で。20年前にやっていた時は40代でしたけど、体力も違いますし。趣味で振る舞うのと、毎日仕事でやるのとでは量が全然違いすぎて。「ちょっときつい」ってなって。

ケージー: たしかに、それは大きく違いますね。

安藤さん: それでアルバイトさんを雇って調理を任せるようになったんですが、やっぱり味が少しブレてきちゃった時期もあって。そこから色々改善を重ねて、母の味をベースにしつつ、味も改良し続けているような感じです。

ケージー: 人気のメニューについても教えていただきたいです!

安藤さん: 一番人気は、プーパッポンカリー(ソフトシェルクラブのカレー炒め)ですね。やっぱり殻ごと食べられるのが面白いのと日本人に合う味付けだから人気なのかなと思います。

ケージー: 食感も楽しいですし、味付けもマイルドですよね。 他の料理で人気なものはありますか?

安藤さん: あとは、女性の方はヤムウンセン(春雨サラダ)とかが好きですね。私も好きです。パッタイもよく出ますよ、今日も5食くらい出ました。寒くなるとトムヤムラーメンも出ますね。

開店前夜のメニュー作りとDIY。夜中の3時まで続いた内装準備

ケージー: 4年近くお店をやられてきて、一番大変だったことは何ですか?

安藤さん: 大変だったこと……。私、すごくマイペースで、オープンする日の前日までメニュー表を作ってなかったんです。

ケージー: ええ!?

安藤さん: オープンする日の朝4時に、やっとCanvaで仕上げて(笑)徹夜でプリントして、オープン1時間前にお店のメニューブックに入れました。もうそれがバタバタでしんどくて。「寝る間を惜しんで仕事するってこういうことか」って初めて思いました。真剣に仕事しましたね(笑)

ケージー: それは壮絶ですね……。

安藤さん: あと、このお店、内装も自分たちで作ったんですよ。椅子とかも。

ケージー: え、この椅子もですか? すごい!

安藤さん: もう二度とやりたくないです(笑)夜中の3時ぐらいまで、夫と二人でずっとここで椅子作ったりして。

ケージー: 夜中の3時までやられてたんですね….

ホームとフラットな店内から生まれる、地域との繋がりについて

ケージー: お店の立地もユニークですよね。窓の外がすぐ駅のホームで。

安藤さん: そうなんです。もう窓を開けたらホームとフラット。電車好きの子供さんはめっちゃ喜びますね。

ケージー: Googleのレビューにも「タイの田舎を彷彿とさせる」って書かれてました(笑)

安藤さん: 書かれてますね(笑)でも、この地元密着感がうちの良さかなって。お客さんも、ほぼご近所の方で、常連さんが多いです。少年野球の打ち上げとかで貸し切りにしてくれたり。

ケージー: まさに地域の台所ですね。

安藤さん: 印象的だったのが、前にお店の前で倒れちゃったおばあさんがいて。パワー切れみたいになっちゃってて、「大丈夫ですか!」って助けたら、それから常連さんになってくれたんです。

ケージー: すごく良い話ですね。

安藤さん: あとは、オープン当初に赤ちゃんだった子がもう6歳になってたり。タイの駐在から帰ってきたご家族が「このグリーンカレー懐かしい!」って家族で来てくれたりするのも嬉しいですね。

浜田山からタイの文化を。「帰ってきたくなる」場所として、次のステップへ

ケージー: 最後にTha Changさんの今後の展望も気になります。

安藤さん: 今後は、もっとタイ料理を人気にさせたいし、一人でも多くの人に本場のタイ料理の味を知ってもらいたいですね。

ケージー: 素敵ですね!!

安藤さん: あと、実は夫が古い骨董品を扱う仕事もしているので、ゆくゆくはそういうタイの文化とかにもつなげられたらな、と。もちろん、Tha Changとしては店舗も増やしていきたいと思ってます!

ケージー: おお! ちなみに、お母様がやられていた西荻窪とか?

安藤さん: 西荻窪もいいですよね(笑)チェーン店っぽくない、こういうアットホームな感じが、逆に西荻窪の人たちには受けるかもしれないですし。あとうちの強みは、メニューがすごく多いことですね。夜のグランドメニューは60~70種類くらいあります。

ケージー: そんなにあるんですね!

安藤さん: 「みんなに色々食べてほしいな」「あれも美味しいんだよ、これも美味しいんだよ」って思ってたら、増えちゃいました(笑)お母さんの味を知ってもらおうって。だから、効率は悪いかもしれないけど、原価もあまり考えずにやってます!

ケージー: すごい(笑)メニューもCanvaでご自身で?

安藤さん: そうです! 写真も全部つけて。タイ料理って名前だけじゃ分からないから、分かりやすく。

ケージー: お店の雰囲気も、メニューも、値段も、すべてがアットホームで温かいですね。

安藤さん: そうですね。タイが恋しくなったら、ぜひTha Changに来てください!

ケージー: 安藤さん、本日は楽しいお話をありがとうございました!

安藤さん: ありがとうございました!

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