究極のサンドイッチを求めて—日本橋にお店を構えるnicoバインミーが追求する進化とこだわりについて

「バインミーを通じて、究極のサンドイッチを追求したい」と語るのは、日本橋に店を構えるnicoバインミーの堀越さんと原さん。

2018年のオープン以来、国産小麦100%のパンと厳選された具材を使い、日本人の味覚に合うバインミーを探求し続けてきました。ベトナム料理の枠にとどまらず、「ここでしか食べられない、進化し続けるバインミー」を目指し、日々研究を重ねています。

今回はnicoバインミーの堀越さんと原さんに、バインミーとの出会い、オープンまでの道のり、そして究極のサンドイッチを追求する想いについて、お話を伺いました。

目次

nicoバインミーが生まれた背景

nicoバインミー・原さんとの対談様子
nicoバインミー・原さんとの対談様子

ケージー:本日はよろしくお願いします!お店のオープンについてお伺いしたいのですが、何年くらい前にオープンされたんですか?

原さん:2018年なので、もう7年前になります。

ケージー:なるほど! 7年前というと、まだバインミーが今ほど一般的ではなかった頃ですよね。代表の堀越さんと原さんがバインミーにハマったきっかけがあると聞いたのですが、どういう経緯だったんでしょうか?

堀越さん:私はもともと音楽関係の仕事をしていて、フェス飯をいろいろ探しているときに、バインミーに出会ったんです。

ケージー:なるほど! 確かにフェスのような場所で、バインミーは片手で気軽に食べられるので相性が良さそうですね。

​​バインミーとの出会いと専門学校時代

nicoバインミーの堀越さん・原さんとの対談様子
nicoバインミーの堀越さん・原さんとの対談様子

堀越さん:野外でバインミーを食べながらライブが見られるなんて最高だと思います。

原さん:私と堀越は調理師専門学校の夜間クラスの同級生でした。

ケージー:そうなんですね! 

原さん:学生時代には、同級生と一緒に美味しいお店があると聞いては、三ツ星レストランからファストフードまで、様々なお店を食べ歩いていたんです。その中で、もっとも衝撃を受けたのが高田馬場のバインミー専門店「バインミー☆サンドイッチ」さんでした!

ケージー:それがバインミーとの出会いだったんですね!

原さん:そうなんです。「なんだこれは!?なんて美味しい食べ物なんだ!!」と、衝撃的でした(笑)。パンにパクチーや大根と人参のなますが入っていて、しかも中の具材はチャーシューやレバーペーストなど、不思議な組み合わせで今まで食べたことがない、絶妙なバランスのサンドイッチだと思いました。ひとくちでバインミーのファンになりました。

バインミー修行とNicoバインミーのオープン

nicoバインミー・原さんとの対談様子
nicoバインミー・原さんとの対談様子

ケージー:確かにあの絶妙な組み合わせはすごいですよね。そこから「自分たちもバインミーをやりたい!」という流れになったんですか?

原さん:そうです。私は実際に「バインミー☆サンドイッチ」さんで2年間アルバイトをして、勉強させて頂きました。

ケージー:バインミー☆サンドイッチさんでアルバイトされてたんですね!

原さん:はい。パン作りには携わらなかったのですが、バインミーを作る工程や味のバランスを学びました。

ケージー:なるほど! その経験を活かして、2018年にお店をオープンされたんですね。

原さん:はい。でも最初はどこでお店を開くか、すごく悩みました。

nicoバインミーの外観
nicoバインミーの外観

ケージー:この場所に出店を決めたのには、どんな理由があったんですか?

堀越さん:会社員時代の経験から「オフィス街でやりたい」というのは決めていました。当時は「ランチ難民問題」という言葉があるくらい、働く人たちがお昼ご飯を食べる場所が少なくて困っていたんです。

ケージー: お昼時のオフィス街は、どこも行列になっていますもんね。

堀越さん:そうなんです。大手チェーンの牛丼屋でも20分待ちみたいな状況だったので「バインミーなら手軽に食べられるのに、野菜もタンパク質もたっぷり取れるので、オフィスワーカーの健康的なランチにぴったりだな」と思いました。

ケージー:たしかに、バインミーはバランスがいいですよね。パンだけじゃなくて、野菜もたくさん入っているし、ヘルシーなのに満足感もありますもんね。

堀越さん:忙しく働くオフィスワーカーの方が多い町という事で、日本橋小舟町に決めました!この物件なら公園が徒歩1分の場所にあるのでテイクアウト専門でもやっていけると思いました。

ケージー:そういう背景があったんですね!話変わっちゃうんですけど、nicoバインミーさんのInstagramでフォロワーさんが3,500人もいるのはすごいですよね! Instagramの運用にもかなり力を入れられてるんですか?

nicoバインミーのInstagram
nicoバインミーのInstagram

原さん:ありがとうございます! 特別なことをしているわけではなく、お客様とのコミュニケーションを大事にしたいと思っています。

ケージー:それ、すごく伝わってきます! 僕もお店の投稿を見ていて、すごく丁寧にコメント返しをされているなって思っていました。

原さん:ありがとうございます。テイクアウト専門店なので、どうしてもお客様とお店で接する時間が短くなるので、SNSでもコミュニケーションが取れたら嬉しいと思っています。

ケージー:たしかに、忙しい中でもお客さんとのやりとりを大切にしているのは、すごく伝わってきますね。

原さん:お客様とのつながりを大切にしたいので、自分がされて嬉しい接客をするのが大事かなって思ってます。

ケージー:だからこそ、フォロワーさんも増えて、お店のファンもどんどん増えていくんでしょうね。

100%国産小麦へのこだわりと試行錯誤

nicoバインミーさんに質問を投げるインタビュアー
質問を投げるインタビュアー

ケージー:お店の特徴として、100%国産小麦を使われていると伺ったんですが、これはオープン当初からのこだわりなんですか?

原さん:そうですね、初めから国産小麦のパンで営業したかったのですが実現できたのは後からなんです。いろいろと試行錯誤が必要で、実際に使えるようになるまでに何年もかかりました。

ケージー:なるほど! 研究しながらの実現だったんですね。

原さん:そうなんですよ。通常業務をしながら研究開発するのは、とても大変でした…。

nicoバインミーさんのバインミーの調理風景
nicoバインミーのバインミーの調理風景

ケージー:確かに、国産小麦はもちもち感が強いイメージですが、バインミーに合うパン作りって難しそうですね。

原さん:そうなんです。国産小麦を使うと、どうしてもモチモチしすぎて、バインミーの特徴でもあるパリッとした食感が出にくくなるんです。いろんな配合を試しながら、バランスを調整して、ようやく納得のいく仕上がりになりました。

ケージー:すごいですね! どのくらいの期間で実現できたんですか?

原さん:4年間です。2021年くらいにようやく国産小麦100%に移行できました。コロナの影響で休業せざるを得ない期間があったんですけど、その時間を活かして研究に没頭できたのは幸いでした。

ケージー:なるほど、ピンチをチャンスに変えたんですね! ちなみに、今一番人気のメニューは何ですか?

nicoバインミーさんのバインミー
nicoバインミーのバインミー

原さん:ベトナムハムとレバーペーストのバインミーです。

ケージー:やっぱり! 僕もこの前いただきました。めちゃくちゃ美味しかったです!

原さん:ありがとうございます!ケージーさんにご紹介いただいたおかげで、フォロワーさんが一気に増えたり、インプレッションもかなり上がりました!

ケージー:本当ですか!? それは嬉しいですね! 実は、あの日食べた後、近くの公園でテイクアウトして食べたんですけど、立地的にも完璧でしたね。すぐに食べられる環境があるのはポイント高いですよね。

期間限定メニューのこだわりと新たな試み

nicoバインミーさんとインタビュアーの対談様子
nicoバインミーとインタビュアーの対談様子

ケージー:nicoバインミーさんは期間限定メニューの創作にもかなり力を入れられてますよね?

原さん:力いれています!限定メニューの事を常に考えて生活してます(笑)

ケージー:期間限定メニューに対するお客さんの反応とかはどんな感じなんですか?

原さん:新作を提供するときはいつも不安なのですが期間限定のメニューを目当てにご来店頂けたり、リピートしてくれるお客さんもいると、とても嬉しいです。

ケージー:どのくらいのペースで新作を出されているんですか?

原さん:完全な新作は年に2本くらいのペースで作っていて、それ以外は過去の人気メニューを少しずつ改良して再販しています。

ケージー:なるほど。去年はどんな新作を出されたんですか?

原さん:例えば、パクチーのスペシャルバインミーを作ったんですが、これは「旅するパクチー」という活動をされているうっしぃさんとのコラボメニューです。

期間限定のパクチースペシャルバインミー①
期間限定のパクチースペシャルバインミー①
期間限定のパクチースペシャルバインミー②
期間限定のパクチースペシャルバインミー②

ケージー:旅するパクチー!? すごい気になります(笑)

堀越さん:コラボさせて頂いたうっしぃさんは、かつて東京・経堂にあった「パクチーハウス東京」という伝説のパクチー専門店の店長さんなんです。パクチーハウスのオーナーさんは、今はパクチー銀行という活動をされていて、日本中のパクチー好きが集まるコミュニティを運営されているんですよ。

ケージー:パクチー銀行!? なんだかすごいワードが出てきましたね(笑)

堀越さん:パクチー銀行ではパクチーの種を融資したり、パクチーに関する様々な活動をされているそうです。精力的に活動されているお二人からパクチー仲間としていつも刺激を頂いています。去年は、バインミーのパンにもパクチーを練り込んで、具材にもたっぷりパクチーを使ったスペシャルメニューを作りました。

ケージー:それは絶対にパクチー好きにはたまらないメニューですね!

堀越さん:そうなんですよ! SNSでもすごく反響があって、毎年恒例のイベントになりつつありますね。

究極のサンドイッチを目指して

nicoバインミーさんの堀越しさんと原さん
nicoバインミーの堀越さんと原さん

ケージー:nicoバインミーさんの今後の展望について、何か考えていることはありますか?

原さん:やっぱり「もっと美味しいバインミーを作る」ことが一番の目標ですね。まだまだいまのバインミーに納得できているわけではなく、改良できる部分がたくさんあると思っています。

ケージー:具体的には、どういうアプローチで進化させていく予定ですか?

原さん:いろんなアイデアを取り入れています。書籍を読んだり、ネットで調べたり、ベトナムの伝統的なバインミーの歴史を深掘りしてみたり。「昔のバインミーってどんな食材を使っていたんだろう?」と調べていくと、意外な組み合わせが見つかったりするんですよね。

ケージー:ベトナム戦争時代にフランス領だった影響もありますし、小麦粉が入手困難だった時代の工夫とか、面白いですよね。

原さん:そうなんです! だから「昔のレシピを現代風にアレンジする」という試みを続けています。バインミーのパンってフランスパンとは違って、軽い食感が特徴なので背景を知ると、さらに奥深く感じられます。

ケージー:「究極のサンドイッチを作る」というお話がありましたが、具体的にどんな方向性を考えていますか?

堀越さんバインミーは「世界一美味しいサンドイッチ」と言われることもある完成度の高い料理だと思っていますが、まだまだ発展の余地があると考えています。新しい具材の組み合わせを試したり、パンの食感をさらに良くしたり、伝統的なレシピを活かしつつ、現代のトレンドに合ったバインミーを作っていきたいです。

ケージー:まさに「バインミーの進化」ですね!

堀越さん:そうですね! 私たちはさらにバインミーを深掘りし、「どこまで美味しくできるのか」を追求していくことが使命だと思っています。

ケージー:すごく面白い視点ですね! これからも進化していくバインミー、楽しみにしています!

原さん:ありがとうございます! ぜひまた食べに来てください!

ケージー:もちろんです! 本日は貴重なお話をありがとうございました!

インタビュアーから一言

nicoバインミーは、ただのバインミー専門店ではなく、進化を続ける“食の研究所”のようなお店でした!

創業者の堀越さんと原さんの話からは、料理への情熱と探求心が伝わり、その姿勢が唯一無二の味を生み出していると感じました!

nicoバインミーの牛焼肉のバインミー
nicoバインミーの牛焼肉のバインミー

国産小麦100%のパンや厳選された具材、期間限定メニューの試行錯誤など、こだわり抜かれたバインミーは、一度食べたら忘れられない美味しさ。

実際に店舗を訪れた際の様子や、こだわりのメニューについては別記事で詳しく紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください!

エスニックマガジン
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