マレーシア国民食を日本へ!130年以上の歴史を誇る「アヤム」が描く、日本のエスニック市場の未来

マレーシアやシンガポールで、その名を知らない人はいないと言われるほど絶大な人気を誇る食品ブランド「AYAM (アヤム)」食料品店にずらりと並ぶ、黄色と赤の缶詰がその信頼の証です。1892年の創業から130年以上にわたり、東南アジアの食文化を支え続けてきた同ブランドは、今、日本の食卓にもその本格的な味を届けようとしています。

今回は、そんなアヤムの日本市場におけるマーケティングを担当する方にお話を伺いました。フランスとマレーシアの融合から生まれたブランドの軌跡、現地で国民食として愛される理由、そして「本場の味をそのまま届ける」というこだわり。日本におけるエスニック市場の未来を、アヤムの視点から紐解きます。

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130年以上の歴史を誇るアヤム——フランスとマレーシアの融合から生まれた軌跡

ケージー: 本日はよろしくお願いします。アヤムさんは、日本では輸入販売代理店を立てるのではなく、自社ブランドとして展開されているのが特徴的ですよね。

アヤム担当者さん: はい、よろしくお願いします。そうなんです。他の海外ブランドさんは代理店契約で展開されることが多いですが、アヤムブランドは自社ブランドとして、日本での展開をしっかり進めています。

ケージー: まさに、自分たちで日本のマーケットを切り拓いていくぞ、という気概を感じます。そもそも、アヤムはどのようにして始まったのでしょうか?

アヤム担当者さん: 歴史は古く、1892年に遡ります。元々は、東南アジアに渡ったフランス人のアルフレッド クーレ(Alfred Clouet)がマレーシアで立ち上げた貿易会社が始まりです。当時はココナッツ製品やカレー、スパイスなどをフランスへ輸出していました。

ケージー: マレーシアで創業したのですね。

アヤム担当者さん: はい。マレーシアでの創業後は、その後シンガポールにも拠点を広げ、今ではメーカーとして確固たる地位を築いています。創業から130年以上続いている歴史あるブランドなんです。

ケージー: 130年!すごい歴史ですね。この鶏のロゴも当時から?

アヤム担当者さん: 細かいデザインは変わっていますが、この雄鶏のロゴは当時からほぼ変わっていません。実はこの雄鶏、フランスの国鳥なんです。

ケージー: そうなんですね!

アヤム担当者さん: そして、「Ayam(アヤム)」というのがマレー語で「鶏」を意味するんです。なので、マレーシアで「アヤム」だけだと“ただの鶏”になってしまうので、本国では「アヤムブランド」日本では「アヤム」として展開しております。

ケージー: なるほど!フランスのシンボルとマレー語を組み合わせた、まさにブランドの歴史を体現した名前なんですね。面白いのが、鶏がロゴなのに、最近まで鶏肉製品は扱っていなかったとか。

アヤム担当者さん: そうなんです(笑)。ロゴの鶏はあくまでシンボルで、ブランドの主力商品はココナッツ製品や魚缶でした。でも実は去年、初めての鶏肉製品である「プルドチキン」を発売しました。

マレーシアでシェアNo.1!国民に愛される「魚の缶詰」と「ココナッツミルク」

ケージー: マレーシアやシンガポールでは、アヤムはどのくらい浸透しているんですか?

アヤム担当者さん: 現地での認知度は非常に高いです。特に、この黄色と赤のパッケージのイワシとサバの缶詰は、現地マレーシアのシェアNo.1で、ブランドのアイコン的な商品になっています。

ケージー: すごい!棚一面がアヤムの商品ですね!この色で「アヤムだ」と認識されているんですね。

アヤム担当者さん: はい。シンガポールやマレーシアのスーパーに行くと、この光景が広がっています。この缶詰を使って、家庭で様々な料理が作られています。

ケージー: まさに国民食ですね。

アヤム担当者さん: もう一つの柱がココナッツ製品です。特にシンガポールでは、ココナッツミルクのシェアが70%を超えていて、2番目に大きいブランドというデータも出ています。

ケージー: ココナッツミルクは家庭料理に欠かせないですもんね。

アヤム担当者さん: はい。日本と違って、家庭でココナッツミルクを使う頻度が非常に高いので、日常的に使っていただいています。現地ではテレビCMやバス広告なども大々的に行っていて、生活に根付いたブランドになっています。

エスニック黎明期の日本へ——業務用から家庭用へ広げた25年の歩み

ケージー: 日本ではいつ頃から展開されているのですか?

アヤム担当者さん: 2000年代からココナッツミルクの輸入を始めたのが最初です。おそらく、他の国での成功を見て、日本の市場でも展開を始めたのだと思います。

ケージー: 2000年というと、まだ今ほどエスニック料理がポピュラーではなかった時代ですよね。

アヤム担当者さん: そうですね。今でこそ市場は広がりましたが、当時はかなり小さかったと思います。なので、最初はレストランなどで使われる業務用がメインでした。

ケージー: なるほど。プロの料理人の方々から、その品質が認められていったんですね。最近では、家庭で使える商品も増えていますよね。

アヤム担当者さん: はい。去年、こちらのシラチャーソースや、マレーシアカレーが手軽に作れるペーストを発売しました。特にカレーペーストは、「サンバルトゥミス」や「アッサムプダス」といった、現地の味をそのまま楽しめるようになっています。

ケージー: マレーシア料理のレトルトペーストは珍しい!これは嬉しいですね。マレーシアに住んでいた日本人や、日本にいるマレーシア人の方がまとめ買いしていく、というのも頷けます。

アヤム担当者さん: 毎年開催されるマレーシアフェアでも、売れています。やはり「日本だとなかなか手に入らないから」と。今後はオンラインストアだけでなく、少しずつお店でも手に取っていただけるように広げていきたいと思っています。

アヤムが守り続ける“本場の味”とは?「日本人に寄せない」というこだわり

ケージー: アヤムの商品をいただく上で、一番の魅力はどこにあると感じていますか?

アヤム担当者さん: 「現地の味をそのまま日本に持ってきている」という点です。日本で販売している商品も、日本人向けにレシピを変えるということはしていません。

ケージー: それはエスニックファンにとって、すごく大事なポイントです。本場の味を求めている人は多いですから。

アヤム担当者さん: もう一つは、なるべくナチュラルな原材料を使うというコンセプトです。例えば、このカヤジャムも、ココナッツミルクと卵と砂糖がメインで、非常にシンプルです。ココナッツミルクも原材料はココナッツと水だけ。アヤムのブランドポリシーとしてnonGMO、保存料、人工着色料は不使用です。また、極力、添加物を使用しないよう心掛けており、おいしいだけではないさまざまな取り組みにも力をいれています。

ケージー: 安心・安全で、かつ本場の味を楽しめる。素晴らしいですね。

アヤム担当者さん: ありがとうございます。このこだわりが、130年以上ブランドを続けられてきた理由の一つなのかなと思っています。

信頼の証「ハラル認証」という強み——多様化する日本の食文化に応える役割

ケージー: もう一つ、アヤムの大きな特徴として「ハラル認証」がありますよね。

アヤム担当者さん: はい。アヤムの商品は、すべてハラル認証を取得しています。

ケージー: すべてですか!それはすごい。このマークが全商品についているんですね。

アヤム担当者さん: そうです。マレーシアに拠点があるので、現地のムスリム(イスラム教徒)の方々が安心して食べられるように、というのは大前提としてあります。

ケージー: 日本でも、ハラル対応の食材を探している方は年々増えています。インバウンドの方はもちろん、日本に住むムスリムの方にとっても、これだけ商品ラインナップが豊富で、すべてがハラル対応というのは、本当に心強いと思います。

アヤム担当者さん: そうですね。ハラル認証の取得や維持は審査が厳しく大変ですが、これも私たちの大きな強みです。日本にいる海外の方にも安心して手に取ってもらえますし、多様化する日本の食文化を支える一つの役割を担えればと思っています。

日本の食卓から、エスニックの未来を拓く——アヤムが描くこれからの展望

ケージー: 日本で25年近く展開してきて、今後の未来をどのように描いていますか?

アヤム担当者さん: 世界のマーケットを見ると、日本のエスニック市場はまだまだ小さいと感じています。ヨーロッパのスーパーでは、当たり前のようにアジアやアフリカのコーナーがあって、そこでもココナッツミルクはよく使われています。外食だけでなく、家庭でもっと手軽に本場のエスニック料理を楽しむ文化を日本に広めていきたいですね。

ケージー: アヤムさんのような本格的な商品があれば、そのハードルはぐっと下がりますね。

アヤム担当者さん: はい。私たちの商品を通して、「現地の味ってこんなに美味しいんだ」と感じてほしいです。また、ココナッツミルクはエスニックだけでなく、デザートに使ったり、乳製品の代替として使ったりと、活用の幅が広い食材です。Instagramなどでレシピも発信しているので、もっと色々な使い方を広めていきたいです。

ケージー: まさに、アヤムが日本のエスニック市場をさらに大きくしていく、そんな未来が見えます。

アヤム担当者さん: そうなれるように頑張ります。私たちの強みである「ナチュラルで高品質」や「本場の味」をより多くの方に知っていただき、アヤムの商品を通して、日々の食卓でエスニック料理を楽しんでいただけたら嬉しいです。

ケージー: 今日は貴重なお話をありがとうございました!

アヤム担当者さん: ありがとうございました。

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