「エスニック総研」誕生秘話―株式会社イコック代表・ケージーが語る原点と未来

エスニック料理店のオーナーや、これからエスニック業界を盛り上げたいと考える人々に向けて誕生した情報メディア「エスニック総研」。その立ち上げの背景には、どんな想いがあったのか。

エスニック総研を運営する株式会社イコック代表・ケージーは、幼少期から海外への強い憧れを持ち、自ら旅に出て挑戦を重ねてきた人物です。

今回のインタビューを通して、これまでの人生とエスニック総研に込めた思い、そしてこれからのビジョンについて語っていただきました。

目次

幼少期に芽生えた海外への憧れ――原点はマレーシアのいとこ訪問

株式会社イコック代表・ケージーさん①
株式会社イコック代表・ケージーさん①

インタビュアー:本日はよろしくお願いします!

ケージー:よろしくお願いします!

インタビュアー:今日は、エスニック総研を運営する株式会社イコック代表のケージーに、これまでの歩みと今後の展望についてじっくりお聞きしていきます。まずは、海外やエスニックに興味を持った原点から教えてください。

ケージー原点は、小学6年生のときにいとこがマレーシアのペナン島に引っ越したことですね。ジョージタウンという世界遺産の街があって、年末は毎年そこに遊びに行ってました。

ジョージア ペナン島の風景
マレーシア・ペナン島の風景

インタビュアー:小学生のときから海外を身近に感じていたんですね。

ケージー:はい。当時は「東南アジアって発展してないんじゃないか」という偏見もあったんですけど、行ってみたら全然違っていて街の活気や文化、食べ物の香りや味、すべてが新鮮で「世界ってすごい!」と感じたんです。

インタビュアー:帰国後もエスニック料理を食べたりしてたんですか?

ケージー:そうなんです。母がカルディで買ってきたグリーンカレーペーストで家でグリーンカレーを作ってくれたりして、それがまた美味しくてどんどん東南アジアの食文化に惹かれていきました。

インタビュアー:勉強面でも海外志向だったんですか?

ケージー:はい。英語は特に好きで、中学時代はテストも毎回100点か98点くらい。学校の先生にも「将来は海外で活躍するんだろうね」と言われていました。

インタビュアー:高校時代には留学も経験したとか?

ケージー:高1のときにフィリピンに2週間留学しました。自分で調べて申し込んで、実際に多国籍の同年代と一緒に英語で話す経験は衝撃的でした。ここで「もっと世界に出たい!」という思いが強くなりました。

インタビュアー:それが今の行動力や挑戦心に繋がっているんですね。

ケージー:間違いなくそうです。あの頃から自分の座右の銘である「現状維持は後退である」という言葉を胸に、自分の殻を破って新しい世界に飛び込むことを続けています。

大学進学とバックパッカーの決意—インドでの衝撃体験

ミャンマーでの旅の記録①
ミャンマーでの旅の記録①

インタビュアー:大学進学はやっぱり東京を選んだ理由があるんですか?

ケージー:はい。実家が田舎で、周りはみんな関西に進学してたんですけど、武田塾の恩師の先生が「絶対に東京に出た方が良い」と強く勧めてくれて、そこから関西ではなく、東京を選びました。

インタビュアー:東京での生活はどうでしたか?

ケージー:最初はもう、遊びに全振りしていて…完全に典型的な大学生でした(笑)。でも、ある日ふと「自分は何のために東京に来たんだ?」と気づいて。

インタビュアー:そこからどう行動したんですか?

ケージー:あのときは本当に心にぽっかり穴が空いた感じで。「何か大きな挑戦をしよう」と思って選んだのがバックパッカーでインドに行くことでした。

インド旅での日本人バックパッカーとの出会い
インド タージマハルで撮影した旅の記録

インタビュアー:インドはまたハードな選択ですね…!

ケージー:そうなんです(笑)。でも、あの旅で人生が180度変わりました。インドは自分のペースじゃないと生きられない場所。「人に合わせて生きていた自分」から「自分の心に忠実に生きる自分」に変われた大きなきっかけでした。

インタビュアー:具体的にどんな出来事があったんですか?

ケージー:小さなトラブルは日常茶飯事。でも、そのたびに「自分で決めて動かないと何も進まない」ことを学びました。あれで他人軸から完全に自分軸へシフトできたと思います。

インド旅での日本人バックパッカーとの出会い

インタビュアー:帰国後は変化ありました?

ケージー:めちゃくちゃありました。人に合わせなくなったことで、友達は減りましたけど…代わりに本当に自分の価値観を共有できる仲間が増えた。そして、そこからSNSでの発信も本格的に始めることになります。

休学と海外挑戦——バングラデシュでのインターン経験

株式会社イコック代表・ケージーさん③
株式会社イコック代表・ケージーさん③

インタビュアー:インドから帰国してからは、どんな流れだったんですか?

ケージー:あの旅で「もっと挑戦したい」という思いが強くなって。大学1年の終わり頃には休を決意していました。「世界中どこでも生きていける人間になりたい」って本気で思ったんですよね。

インタビュアー:すごい行動力…。休学して何をしたんですか?

ケージー:まずはフィリピンで3ヶ月、プログラミングと英語を学びました。当時は「英語×プログラミング×SNS」で生きていくって決めてて。

インタビュアー:まさにノマドワーカーの理想像!

ケージー:そう。でもやってみて思ったのは、プログラミングって自分にはあまり向いてなかった(笑)。でもそのフィリピン留学中に見つけたのがバングラデシュでのブリッジSEインターンでした。

バングラデシュインターンでの仲間との様子①
バングラデシュインターンでの仲間との様子①

インタビュアー:バングラデシュ!また挑戦的ですね。

ケージー:オフショア開発の拠点で、日本と現地のエンジニアチームを繋ぐ役割。毎日がミュニケーションの連続で、英語力も鍛えられましたし、異文化との接し方も学べました。

インタビュアー:その経験は大きいですね。

ケージー:本当に大きいです。平日はSEとして働き、週末はYouTubeで自分の挑戦を発信してました。あのときから、「自分が発信者となり、自分が作り出すコンテンツを駆使して、人を動かしたい」っていう気持ちが芽生えましたね。

バングラデシュインターンでの仲間との様子②
バングラデシュインターンでの仲間との様子②

インタビュアー:YouTubeもその頃から始めたんですね。

ケージー:はい、旅系の「ケージー/KGTravel」をスタートして。最初は本当に小さな一歩でしたが、徐々に「自分の言葉で海外の魅力を伝えたい」って気持ちが強くなっていきました。

インタビュアー:バングラデシュのインターンの後は何をされてたんですか?

ケージー:その後はエンジニアとしての仕事よりもYouTube活動に専念して行きたいなと考え、そこから東南アジアバックパッカーとして旅している様子をYouTubeでコンテンツとして動画をアップしていくような生活をしておりました!最初はカンボジアから入って、その後フィリピン、タイ、ラオス、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、インドネシアという感じでまさに東南アジアを周遊する旅を行ってました!

ミャンマーでの旅の記録②
ミャンマーでの旅の記録②

インタビュアー:東南アジアのほとんどを旅されてたんですね!すごいですね(笑)

ケージー:この時は休学しているということもあり、大学に復学した時に休学する前の自分よりも圧倒的に成長したいという強い思いがあって、それを実現させるために自分ができることというのが休学してからずっと続けてたYouTubeでの情報発信でして、情報発信を通して海外の魅力や楽しさ、バックパッカーとして旅をする面白さなどを動画を通して全力で発信活動してましたね!

ケージー / KG TravelのYoutubeチャンネル
ケージー / KG TravelのYoutubeチャンネル

コロナ禍で全てが止まった—そして出会った「エスニック料理」

株式会社イコック代表・ケージーさん④
株式会社イコック代表・ケージーさん④

インタビュアー:そんなYouTubeが順調に進んでいたところにコロナが来てしまったんですね。

ケージー:もう…本当に全部を奪われた感じでした。海外で挑戦して、YouTubeも登録者5000人まで伸ばして、「これからだ!」ってタイミングで、コロナで強制帰国。全ての予定が崩れました。

インタビュアー:そうだったんですね・・!かなり落ち込みましたよね?

ケージー:はい、1ヶ月くらい何もできなくなりました。ずっと家にいて、旅動画の振り返りとかを配信してみたけど、もう誰も海外動画を求めていない空気感がひしひしと伝わってきて。

インタビュアー:確かにあの時期は、世界が閉ざされた感がありましたよね。

ケージー:そう。じゃあ国内動画だ!と車中泊とかもやってみました。でも、どこか心が燃えないんですよね。本当に自分が伝えたいものは何だろう?って考えた時に、「海外の魅力を伝える」ことだったんです。

開設初期のエスニックマガジンInstagram
開設初期のエスニックマガジンInstagram

インタビュアー:そこからエスニック料理にどう繋がっていくんですか?

ケージー:本当に偶然で…先輩に連れて行ってもらったタイ料理屋さんで、衝撃を受けたんです。食べた瞬間、あ、これだ。海外に行けなくても、海外の魅力は料理を通して伝えられる!って思ったんです。

インタビュアー:それがエスニックマガジンの誕生に繋がるんですね!

ケージー:はい。2022年の春から「週5エスニック」というコンセプトでInstagramを本気で取り組み始めました。

「週5でエスニック」で急成長—自信を取り戻した9ヶ月間

株式会社イコック代表・ケージーさん⑤
株式会社イコック代表・ケージーさん⑤

インタビュアー:実際に始めてみて、手応えはどうでした?

ケージー:最初から手応えはありました。週5でエスニックを食べに行って投稿するって決めてから、自分の中で「これは絶対いける!」って感覚がありました。最初の2ヶ月くらいで一気にフォロワー5000人を超えて。

インタビュアー:すごいスピードですね。

ケージー:本当に。2022年3月に始めて、同年12月には1万人突破してました。ずっと「海外を発信したい」と思っていたけど、それが形を変えて、国内でエスニック料理を通して海外の魅力を伝えるという道が開けた感じでした。

インタビュアー:もともと抱えていた想いがようやく形になったんですね。

ケージー:はい。やっと評価された感覚があって、嬉しくて仕方なかったです。そこから飲食店や企業の方々との繋がりも増えて、「これはもう自分のライフワークだ」と確信しました。

インタビュアー:その後大学を卒業してから、リクルートに入社されたんですよね?

ケージー:そうです。リクルートではホットペッパーグルメの営業職に入りました。エスニックマガジンをやっている自分にとって、グルメ業界での経験は絶対に役立つと人事の人が判断してくださって、2023年4月からホットペッパーグルメの営業職で働くことになりました!

修行期間としてのリクルート—ビジネスの基礎を学んだ1年

株式会社イコック代表・ケージーさん⑥
株式会社イコック代表・ケージーさん⑥

インタビュアー:リクルートではどんな経験を積んだんですか?

ケージー:めちゃくちゃ鍛えられましたね。営業としての基礎力、課題解決力、数字に向き合う姿勢—全てを叩き込まれました。エスニックマガジンだけをやってきた自分にとって、「ビジネスとして成り立たせる」ってこういうことなんだって、毎日学びの連続でした。

インタビュアー:エスニックマガジンで感じていた課題も、そこで解消された部分があったんですか?

ケージー:ありました。SNSってバズれば一気に伸びるんですけど、再現性を持って継続的に伸ばしていくことは本当に難しいじゃないですか。その点、リクルートはロジックと再現性を営業スタイルとして大事にしている会社なので今でもそのとき学んだ「課題設定」「提案設計」「顧客への価値提供」のプロセスは、全部会社の事業に活きてます。

インタビュアー:その1年間があったからこそ、今があるんですね。

ケージー:間違いないです。あの1年は、本当に濃い1年間だったと思っています。

エスニック総研誕生—仲間との出会いがすべてを動かした

株式会社イコック創業記念時にメンバー全員との写真

インタビュアー:リクルートを退職してから、株式会社イコックが立ち上がったわけですが、どんなきっかけだったんですか?

ケージー:実は最初はSNS運用代行とか、ちょっとフリーランス的なことをやってたんです。でも、正直「これじゃない感」がずっとあって。そんな時に、今の共同創業者である的場に出会ったんです。

インタビュアー:イコックで今一緒に会社をやられている方ですよね!

ケージー:そう。元々、彼は本の紹介アカウントで1.6万人のフォロワーがいるInstagramを運用していて、そこで行なわれている読書会に参加した時に知り合ったんですが、彼が「ケージーさんの描いてるビジョン、自分も一緒にやりたいです!」って言ってくれて。しかも本気度がすごくて、彼自身も会社を辞めて飛び込んでくれたんです。その姿勢を見て、「この人となら本気でやれる」って確信しました。

インタビュアー:熱い…!

ケージー:いやもう、マジであの出会いがなかったら、今のイコックはなかったと思います。お互いの強みを活かし合って、「日本と海外を繋ぐ」というミッションを形にしていこうと決めました。

インタビュアー:実際に会社を始めて、最初はどんなことをやってたんですか

ケージー:最初は正直、手探りでした。店舗さんに営業したり、PR案件を受けたり…でもそれだけじゃ限界が見えてきたんですよね。

インタビュアー:限界、というと?

ケージー:店舗さんと話していると、「売上アップ」や「店舗運営」の悩みをみんな持ってるのに、情報を届ける場所がなかったんです。エスニックマガジンはBtoC寄りで、フォロワー向けの発信。でも事業者向けに専門的な情報を届けるメディアがない。そこに気付いて、「これだ!」ってなって。

インタビュアー:それがエスニック総研の誕生に繋がったんですね。

2月にローンチしたエスニック総研
2月にローンチしたエスニック総研

ケージー:そうです。エスニック料理店オーナーやこれから開業したい人に向けて、ノウハウ・事例・市場トレンドを届けるメディア。それをやるべきだと。店舗さんからも「こういう情報、もっと欲しかった」って言われて、ますます確信しました。

目指すのは「事業者にとってのインフラとなるメディア」

株式会社イコック代表・ケージーさん⑦
株式会社イコック代表・ケージーさん⑦

インタビュアー:今、エスニック総研はどこを目指しているんですか?

ケージーエスニック関連の事業者にとって「なくてはならない存在」になりたいです。例えば、店舗オーナーが「最近の人気エスニックメニューって何だろう?」「みんな何に悩んでる?」って思った時に、真っ先にエスニック総研を開くような。

インタビュアー:なるほど。エスニック料理店店オーナーに見たもらえるようなメディアを作って行きたい感じですか?

ケージー:そうですね。しかも単なる情報提供だけじゃなくて、「この情報を知ったらすぐ行動したくなる」ような、リアルな声とノウハウを載せていきたいと思ってます。

インタビュアー:どんな情報を増やしていきたいですか?

ケージー:店舗インタビューはもちろん、売上アップ成功事例、PR施策、繁盛店の裏側、市場データなど。さらに、今後は新商品のレビュー仕入れ先情報なんかも載せて、「総研を見れば今やるべきことが分かる」状態にしたいです。

エスニックを通じて、日本と世界をつなぐ架け橋に

インタビュアー:それでは、この記事を読んでいる皆さんにメッセージをお願いします。

ケージー:僕がエスニック総研を始めたのは、「エスニック料理をもっと日本の日常に広めたい」という思いがきっかけです。エスニック料理を通して海外に興味を持ち、実際に足を運んでくれる人が増えたら最高だと思っています。店舗オーナーの皆さんも、ただ料理を作っているわけじゃなくて、「文化を届けている」という自負があるんですよね。そんな方々に敬意を持って、僕たちも一緒に市場を盛り上げていきたいです。

インタビュアー:確かに。エスニック料理は単なる食事じゃなくて、異文化の入り口ですもんね。

ケージー:そうなんです。だからこそ僕は、エスニック総研を「エスニック業界に関わる方にとってのインフラ」に育ていきたいですし、エスニックマガジンではフォロワーをさらに増やして、多くの人に情報を届けたい。「この会社がいるから、エスニック市場が成長している」と言ってもらえる存在を本気で目指しています。

インタビュアー:素敵です。最後に、一言お願いします!

ケージー:今後も、エスニックマガジンとエスニック総研、両方で「面白い」「役に立つ」と思ってもらえる情報を届け続けますので、ぜひフォローしてもらえると嬉しいです。一緒にエスニックの未来を盛り上げましょう!

  • URLをコピーしました!
目次