ベトナム・ハノイで食べたPHO THINの味を日本で!フォーティントーキョーの軌跡と成長戦略

「ハノイで食べたPHO THIN(フォーティン)の味を日本全国に広めたい」と語るのはフォーティントーキョーを運営する株式会社プレイフォーの代表取締役 墨さん(以下すみけんさん)。

すみけんさんは飲食未経験のところからPHO THINの味を日本に持ってくるため、熱量と行動力で40年間世界各地のオファーを断り続けていたティンさんを動かし、フォーティントーキョーを誕生させました。

今回はすみけんさんにインタビューを実施。フォーティントーキョー誕生の話から成長戦略・今後の展望をお伺いしました。

目次

リクルート時代の経験とPHO THINとの出会い

フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子①
フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子①

ケージー:すみけんさんは元々リクルート出身ですよね?

すみけんさん:はい、2007年に新卒でリクルートコミュニケーションズに入社し、10年程働きました。最初の5年間はHR領域で広告制作ディレクターを行い、後半5年間は新規事業の立ち上げなどを担当していました。

ケージー:そうなんですね!新規事業はどういったことをやられていたんですか?

すみけんさんASEAN諸国での新会社/新サービスを展開する事業部と、東南アジアの方々と一緒にジョイントベンチャーのグロース支援を行っていました。具体的には2014~15年頃、東南アジア版のじゃらんといったOTA(Online Travel Agency)を展開していたのですが、国ごとに合わせたメディアを作るためには、現地の方々を集めて人力でマーケティングをしていく必要がありました。そんな中、on-lineマーケティングの部分をAIを用いて最適化するために、東南アジア現地の優秀なエンジニアと一緒にAIを活用した広告配信を最適化するサービスを作っていました!

ケージー:僕もリクルート出身ですが、2015年頃そのような動きがあったことは知りませんでした(笑)リクルートでは海外出張多かったんですか?

フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子②
フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子②

すみけんさん:1年間の半分くらいは東南アジアを中心に海外出張していました。その中でリクルートのベトナム駐在の方に、ハノイで美味しいフォーのお店があると聞き、そこでPHO THINに出会いました。そこから出張の度にPHO THINを食べていて、「日本でもこの味は人気がでるだろうな」と思っていました。

ケージー:なるほど!そこでPHOTHINさんに出会うんですね!

フォーティントーキョー誕生の鍵は紙芝居!?

フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子③
フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子③

ケージー:PHO THINの誕生までのお話を教えてください!

すみけんさん:リクルートを退職後、2016年に合同会社こっからを立ち上げ、自治体と連携しながら企業様の次世代リーダーを育成する事業を行っていました。その事業の中で「失敗を恐れずに自らでアクセルを踏むことの大切さ」を伝えていたこともあり、自分自身も何か挑戦しなければと、飲食未経験ではありましたが、チャレンジしてみることを決断しました。

ケージー:なるほど!飲食も色々ジャンルあると思うんですが、そこでなぜフォーを選ばれたんですか?

すみけんさん:単に飲食店をやりたかったわけではなく、海外出張で食べていたPHOTHINの味が忘れられず、「あの味を日本に持ってきたい!」という想いがあったため、フォーを選びました。

PHO THIN創業者のティンさん
PHO THIN創業者のティンさん

ケージー:「フォーのお店ではなく、PHO THINのフォーを日本で提供したかった」ということですね!そのためにすみけんさんはどんな取り組みをされたんですか?

すみけんさん:まず社内で「PHOTHINの味を日本に持ってきたい!」と起案したのですが、当時PHOTHINはベトナムに1店舗しかなく、日本に持ってこれるのかが未知数でした。そのため、本当に日本に持ってこられるのか?を確かめることを最優先にしました。

ケージー:確かめるために実際にベトナムに行かれたんですか?

すみけんさん:はい、社内から出張旅費をもらい、5日間のハノイ出張を行いました。

ハノイにあるPHO THIN本店
ハノイにあるPHO THIN本店

ケージー:ハノイに行ってすぐオーナーさんにお会い出来たんですか?

すみけんさん:全く繋がりもなかったので、会えませんでした(笑) ただ「PHOTHINの味を日本に持ってきたい!」という想いは強かったので、日本出店の想いを綴ったベトナム語の紙芝居を作り、お店の前でひたすら紙芝居を通して想いを伝えたり、PHO THINのスタッフに「ティンさんに伝えて欲しい」と頼み込みました!

ケージー:すごい!それで実際にお会い出来たんですか?

PHO THIN本店のフォーボー
PHO THIN本店のフォーボー

すみけんさん:スタッフに「明日ティンさんがくる」と言われ、行ってみると来なかったことの繰り返しだったのですが(笑)、日本に帰国しないといけない前日にスタッフから「明日はティンさん絶対くる」と言われ、お会いすることが出来ました。ティンさんとお話するため、通訳の方も急遽雇ったんですが、当日通訳の方が遅刻するという事態が起こり、結局紙芝居とGoogle翻訳を用いて、ティンさんに想いを伝え、「一緒にやろう!」と言っていただけました。ティンさんは耳が不自由な方だったので、紙芝居を使って話が出来たことは運が良かったなと思います(笑)

ケージー:繋がりがないところから、すみけんさんの行動力と熱量でティンさんと一緒にやることが決定したこと、素晴らしいですね!それまでPHOTHINさんの味を他の国で出したいというオファーはあったんですか?

すみけんさん:それまで世界各地からオファーがあったそうですが、全て断り続けていたそうです。

ケージー:そうだったんですね!ティンさんにとっても歴史的な日だったんですね!

フォーティントーキョー決定からオープンまでの流れ

フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子④
フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子④

ケージー:そこからフォーティントーキョーさんがオープンするまではどのような流れだったのでしょうか?

すみけんさん:2018年2月にフォーティントーキョーが決定し、まずは3月に株式会社プレイフォーを設立しました。そして4月にティンさんを日本に招待し、日本の食材でPHO THINの味が再現できるかどうか、約1週間かけて色んな市場を周り、確認しました。その中でティンさんも「これならいける!」と感触を得ていました。

ケージー:なるほど!PHO THINの味の再現性を確認後、すみけんさんは飲食未経験だったとおっしゃっていましたが、コックさんはどのように募集されたんですか?

すみけんさんSNSを活用し、フォーティントーキョーに対する想いを発信していきました。そこで今の店長であるかみやんと出会い、フォーティントーキョーの店長になることが決まりました。その後、かみやんをベトナムに連れていき、ティンさんのマンツーマン指導を受けてもらいました。かみやんがティンさんの味を完全再現出来るようになり、日本に戻ってきた後、2019年3月にフォーティントーキョーをオープンさせました。

フォーティントーキョー池袋店の外観
フォーティントーキョー池袋店の外観

ケージー:ティンさんの出会いから約1年かけてお店をオープンされたんですね!1店舗目は池袋だと思うのですが、池袋を選んだ理由はありますか?

すみけんさん:一番の理由は、もともと池袋に住んでいて土地勘があるからですね。その他にもベトナムでは朝も昼も晩もフォーを食べる文化があるので、1日中誰でも来店できるお店にしたかったこと、そして平日も休日もお客さんが来る街で勝負してみたかったため、他にもいくつか候補あったのですが、池袋を選びました。

ケージー:フォーはほんと朝昼夜いつでも食べられる料理ですよね。僕もベトナムに行った時はフォー食べまくっています(笑)

オープン当日から行列を作れたフォーティントーキョーの戦略

フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子⑤
フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子⑤

ケージー:実際にオープンされてからの反響はどうだったのですか?

すみけんさん:オープン前の準備の様子やかみやんの修行の旅の様子をSNSで投稿し続けていたので、オープンの日から大盛況でした!具体的に言うと、オープンの日は150食分のスープを用意していたのですが、オープンして10分で売り切れてしまいました(笑)

ケージー:10分で閉店ですか!?オープンまでのプロセスを戦略的にSNSで上げ続けたからこそそこまでバズったんでしょうね!そのバズりはしばらく続いたんですか?

フォーティントーキョー池袋店のフォーボー
フォーティントーキョー池袋店のフォーボー

すみけんさん:はい、毎日行列が続きました!というのも、オープンして2ヶ月間は店舗のオペレーションを固めるために昼営業のみ行っていました。正直飲食店にとって昼のみの営業はアルコールも出なく単価が低いですし、僕たちは家賃が高い池袋で出店していたので、自殺行為に近かったです(笑) ただ幸いなことに、昼営業のみと決断したことで「お昼しか食べれられないお店」と限定感・希少性が増し、口コミでどんどん広がっていきました。

ケージー:話題性を生みつつ、オープン当時にオペレーションを固められたからこそ、今のフォーティンさんがあるんですね!

コロナ禍での成長と新店舗展開の戦略

フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子⑥
フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子⑥

ケージー:その後コロナ禍でしたが、影響はありましたか?

すみけんさん:僕たちはお酒を飲みながらグループで楽しむ居酒屋さんとは違って、カウンターで1人でもフォーを楽しめるお店をコンセプトとしています。そのため、パーテーションの設置で対策を行い、コロナの影響は特に受けませんでした。むしろコロナ禍になり、飲食店さんが撤退し、掘り出し物件が出たり、補助金や助成金もたくさんあったので、アクセル踏んで2店舗目の新宿店をオープンしました!

ケージー:フォーティントーキョーさんは本当に1人で行きやすい店舗さんですし、メニューも1種類なので、店舗のオペレーションも洗練されていて、回転率も高い印象です!その後も新店舗出店を続けていますよね?

すみけんさん:はい。池袋・新宿の2店舗とも軌道に乗ってきて、メトロポリタン駅周辺ではフォーティントーキョーが成り立つ手応えを掴めていました。ただ僕たちがやりたいことは「日本全国にフォーティンの味を広めること」なので、次はメトロポリタン駅ではないエリアで勝負したく、吉祥寺でオープンさせました!その後、所沢でも店舗をオープンしています。

フォーティントーキョー・吉祥寺店の店内①
フォーティントーキョー・吉祥寺店の店内①

ケージー:日本全国にPHOTHINの味を広めるというミッションがあるからこそ、様々なエリアに出店されていらっしゃるんですね!吉祥寺・所沢はどういう経緯で出店されたのですか?

フォーティントーキョー・吉祥寺店の店内②
フォーティントーキョー・吉祥寺店の店内②

すみけんさん:吉祥寺については、ちょうど新店舗エリアを考えている時にちょうどとある大学院の方から「フォーティントーキョーの会社について研究したい」とオファーがありました。そこで学生さんたちに「あなたがフォーティントーキョーの代表だったら次どこのエリアの出店しますか?」と課題を出しました。池袋・新宿からアクセスが良いこと・当時店長のかみやんがが通いやすいところを条件として与えました。候補として中央線沿いや川口、川越など色々出てきたのですが、ベッドタウンとしての可能性や流動人口などを調査してもらったり、僕が実際に街を歩いてみたりして、吉祥寺が一番面白そう!と感じ、吉祥寺出店を決めました。

ケージー:学生さんに研究の一環として取り組んでもらったこと、とても面白いです!所沢についてもお伺いしたいです!

すみけんさん:所沢については再開発で商業施設が出来るということで、そのフードコートにフォーティントーキョーが入らないか?とお声がけいただきました。フードコートでの形態が上手くいくか検証したかったので、出店を決めました!

ケージー:なるほど!色んなエリアで形態を変えながら、検証されているんですね!結果的にはどうでしたか?

フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子⑦
フォーティントーキョーのすみけんさんとの対談様子⑦

すみけんさん:吉祥寺については池袋・新宿ほどまだ軌道に乗っていないので、課題を感じています。というのも、池袋・新宿のお客様層の半分以上がベトナム人なんですが、吉祥寺はその割合が低い状況です。日本人のお客様の数はあまり変わらないので、ここからどう伸ばしていくか考えている最中です。所沢については、フードコートに約1000席あり、お客様をお待たせせず提供出来るので、想像以上に上手くいきました!池袋・新宿は20席と限られた広さの中でたくさん提供する面白さとはまた違った面白さがあります(笑)

ケージー:フォーティントーキョーさんは提供スピードも早いですし、都心に限らず、今後も日本全国色んなエリアで出店されていくことが楽しみです!

フォーを日本の食文化へ—未来への展望

フォーティントーキョーのすみけんさん
フォーティントーキョーのすみけんさん

ケージー:フォーティントーキョーさんの今後の展望について教えてください!

すみけん僕たちは東京に留まらず、フォーという食文化を日本全国に広げていきたいと思っています!過去には「フォー普及協会」という団体を立ち上げましたし、2024年12月には長野県の白馬にある栂池高原スキー場に冬限定で出店しました。まだまだ挑戦し続け、新しい商業施設にも新店舗をオープンさせる予定です!

ケージー:スキー場でもフォーティントーキョーさんの味が楽しめるのは嬉しいですね!色んなエリアで展開されること、本当に楽しみです!最後に読者の方に一言お願いします。

すみけん:多くの方にフォーを楽しんでいただきたいと思っています!フォーは牛肉だけでなく、鶏肉や海鮮、さらには辛いフォーなど、さまざまなバリエーションがあります。ラーメンや蕎麦に匹敵するような、日本に根付く食文化として発展させていきたいという想いがあります。そのためにも、フォーの美味しさや楽しみ方をもっと広めていきたいです!

ケージー:本日はお時間いただき、ありがとうございました!

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