ベトナム料理を日本の食文化に— 「チョップスティックス」代表・茂木さんが歩んだ挑戦の軌跡

東京都内で本格的なベトナム料理を提供する「チョップスティックス」日本で初めて“生麺フォー”を取り入れたこのお店は、多くのベトナム料理ファンを魅了してきました。

その立役者であるフクモチック有限会社代表の茂木さんは、数々の試行錯誤を経て現在のスタイルを確立しています。

なぜ茂木さんはベトナム料理を選び、どのようにして「チョップスティックス」は誕生したのか。そして、これからチョップスティックスが目指す未来とは。今回は、茂木さんにこれまでの歩みと、今後の挑戦についてじっくりとお話を伺いました。

目次

海外志向から始まった料理人人生

チョップスティックスオーナー茂木さんとの対談様子①
チョップスティックスオーナー茂木さんとの対談様子①

ケージー:本日はお時間をいただきありがとうございます! 今日は、茂木さんが料理の道に進まれたきっかけから、チョップスティックスさんを立ち上げるまでの経緯、そして今後の展望についてじっくり伺えればと思います。よろしくお願いします!

茂木さん:こちらこそ、よろしくお願いします! 

ケージー:では早速ですが、茂木さんが料理の道を志したきっかけを教えてください!

茂木さん:実は、もともと料理をやるつもりはなかったんです。実家が建築関係の仕事をしていて、僕も大学卒業後はそこを継ぐ予定でした。内定ももらっていて、その道に進むつもりだったんですけど……学生時代に海外に行った経験から価値観が大きく変わって、「地元に戻る」よりも「もっと広い世界で挑戦してみたい」と感じるようになったんです。

ケージー:そんな経緯があったのですね!でも、それで料理人になろうと思ったのはどうしてですか?

茂木さん:大学時代に旅行でいろんな国を訪れるうちに、「将来は海外で勝負してみたいな」と思うようになったんです。それで、「海外で日本人が活躍できる仕事って何だろう?」と考えたときに、和食の料理人がいいんじゃないかと。

ケージー:なるほど! 海外での活躍を見据えて、和食の道に進まれたんですね。実際に料理を学び始めたのはいつ頃だったんですか?

茂木さん:大学卒業後、和食の店で修行を始めました。そして2年くらい経った頃に、「そろそろ海外に出よう」と思い、イギリスに渡ったんです。

ケージー:おお、いよいよ海外へ! イギリスではどんな経験をされたんですか?

茂木さん:香港人のオーナーが経営する和食レストランの立ち上げに関わりました。でも、ビザの関係で問題があって……。

ケージー:まさか、トラブルがあったんですか?

茂木さん:はい(笑)学生ビザで入国していたんですが、実はそのビザで働くのは違法だったんです。私はよくわからずに1年ほど働きながら店づくりに励んでいたのですが、ビザ更新時に問題となり、パスポートを取り上げられて「◯月◯日までに出国しろ」と強制退去になりました。

ケージー:ええっ、それはすごい経験ですね……。そこからどうされたんですか?

茂木さん:仕方なく日本に戻ったんですけど、そこから1年間くらいは何をするか本当に悩みましたね。海外で勝負するつもりだったのに、それが突然ダメになってしまったので。

ケージー:確かに、一気に道が閉ざされてしまった感じですね。その後、日本での道を模索されたんですか?

茂木さん:そうですね。最初は派遣の調理師として、ゴルフ場や結婚式場のキッチンで働きながら、これから何をしていくか悩んでいました。それでやっぱりいずれは自分で起業したい。「どうせなら一番大きい会社でマネジメントを勉強しよう」と思って、すかいらーくに入ったんです。

ケージー:すかいらーく! ガストなどのファストフード店を運営されている大企業ですね!そこからアジア料理へと進む流れが気になります…!!

茂木さん:すかいらーくで2年ほどが経過し、4店舗くらいでの経験を経ていた頃インターネットの掲示板で「シンガポールのチキンライスのお店をやりたい」という投稿を見つけたんです。それを見て、「僕、料理やりましょうか?」って連絡したのがきっかけでした。

ケージー:インターネット掲示板での出会いなんですね(笑)そこからどうしてベトナム料理に?

茂木さん:チキンライスを作りながら、東南アジア料理全般を勉強する中で、もともと興味があったベトナム料理であるフォーやベトナム風サラダなどもメニューに加えていきました

米粉麺との出会いと『フォー』にかける想い

チョップスティックスオーナー茂木さんとの対談様子②
チョップスティックスオーナー茂木さんとの対談様子②

ケージー:チキンライスからベトナム料理へと興味が広がったんですね。でも、なぜフォーに注目されたんですか?

茂木さん:イギリスにいたとき、香港人の仲間とよく食事をしていたんですが、そのとき初めて「米粉の麺」を食べたんですよ。中華料理にも米粉の麺ってありますけど、それがすごく美味しくて印象に残っていたんです。

ケージー:なるほど、イギリス時代の経験が影響していたんですね。

茂木さん:それと、イギリスの日本食レストランで働いていた時、日本米を使います。しかし日本産は高いのでカリフォルニア産を使っていました。その時、日本の米は世界で一番美味しいと感じるようになりました。

日本に戻ってきてから、日本の米は美味しいのに、日本には米の麺がない。日本の米で米麺を作れば、世界で一番美味しい米麺が作れるのではないか?と思いました。

ケージー:当時はまだフォーが今ほど浸透していなかったのではないですか?

茂木さん:そうですね。ベトナム料理自体がまだまだマイナーで、フォーといえば乾麺を使うのが普通でした。でも、僕は「ベトナムの本場のように、生麺のフォーを提供したい!」と思って、そこから試行錯誤が始まりました。

ケージー:生麺のフォーを日本で作るのは、かなり大変だったんじゃないですか?

茂木さん:めちゃくちゃ大変でしたね(笑)米粉は小麦粉のようにつながらない。当時の日本では米麺はつくるのが不可能とさえ言われていました。ちょうど米粉ブームが始まる前でしたが、小麦粉90%に対して米粉10%くらいのうどんなどを地方の農協などが開発して、「米粉麺」ということで地元の給食で出しているくらいの時代でした。

ケージー:技術も材料もない中での挑戦……。どうやって試作を進めていったんですか?

茂木さん:最初は自宅でフォーのスープ作りから始まりました。すかいらーくで働きながら、休日になると市場に豚骨や鶏ガラなどを買いに行き、アパートのキッチンで何種類もスープを作っていました。早朝にアパートの敷地内で豚骨を金づちで割ったり、換気扇からはスパイスの香りが漂うし、ゴミは骨だらけ。近所では変な人だと思われていたかもしれません。

ケージー:まさに下積みっぽい感じですね!そこからどうやって商品として完成させたんですか?

茂木さん:スープが完成してくると、今度は製麺屋に通う日々になります。

イタリア食材の卸業をやっている人から、生パスタを日本でかなり早い段階で製造している製麺職人を紹介してもらいました。新しいことにチャレンジしてくれる人なので、米麺の製造もやってくれるかもしれないとのことで相談に行きました。「お米の麺?面白いやってみよう」と職人の吉野さんは言ってくれたのですが、じっさいやってみたら、ぜんぜんつながらないし、麺にならない。

何度も何度も失敗をくり返し、もうダメかとあきらめかけたころ、「茂木さん、できそうだよ」と連絡を受けました。相談に行ってからは4~5か月くらい経っていたころだと思います。

なんとかつながるようにはなりましたが、ここからが美味しい麺作りへの挑戦です。

それからは毎週、私が製麺屋のキッチンでスープを作り、このスープに合う米麺を作りたいと何日も、何度も、とにかく試行錯誤を繰り返しましたね。ベトナムのフォーと同じものを作るのではなく、日本人が「もっと美味しい」と思えるフォーを作ろうと考えたんです。それで、お米の配合を工夫して、日本のお米の甘みを活かした麺を作ることにしました。

日本初生米めんフォー①
日本初生米めんフォー①

ケージー:日本のお米を使うことで、独自のフォーが生まれたんですね!

茂木さん:そうですね。それが「日本初の生麺フォー」として形になったんです。

日本初生米めんフォー②
日本初生米めんフォー②

ケージー:それを聞くと、改めて茂木さんのフォーへのこだわりを感じます!

高円寺での挑戦―チョップスティックス誕生秘話

チョップスティックス オーナー茂木さん①
チョップスティックス オーナー茂木さん①

ケージー:そうして日本初の生麺フォーを作り上げたわけですが、高円寺にお店を出すことになったのは、どんな経緯だったんですか?

茂木さん:最初はアジア料理全般を提供するお店をやろうと思ってたんです。でも、当時はまだベトナム料理が浸透していなかったし、アジア料理自体も今ほどは人気がなかった。

ケージー:確かに、当時はモンスーンカフェくらいしか有名なアジア料理店はなかったですよね。

茂木さん:そうそう。それで、物件を探していたところ、高円寺の古い市場の中にある物件を見つけました。見に来た時、なんか雰囲気がベトナムの市場みたいに感じたんですよ。「ここは面白い」って思って、家賃も安かったし直感で決めたんです。

ケージー:へぇ! この市場のどんなところにベトナムらしさを感じたんですか?

茂木さん:今は飲食店街になってしまったこの大一市場ですが、当時はまだ市場だったころのお店も残っていて、向かいは乾物屋、となりは惣菜屋、奥に味噌の計り売り店などがある中に、小さな飲み屋や、スナックなどが点在していました。

ベトナムの市場は、だいたい屋台エリアが中に併設されていて、市場に買いに来た人たちが食事をしていたり、市場で働くスタッフが屋台から出前を取ったりしているのが印象的でした。

当時のこの大一市場にベトナムのローカル市場に通じるものを感じ、ここで店をやることに決めました。

ケージー:でも、オープン当初は苦労もあったんじゃないですか?

チョップスティックス オーナーと対談するインタビュアー①
チョップスティックス オーナーと対談するインタビュアー①

茂木さん:めちゃくちゃありましたね(笑)お客さんが全然来なかった。ほとんど知り合いしか来なくて、開業して3ヵ月で共同経営者は商売をやめると言い出しました。

それで私もどうしようか悩みましたが、店を買い取って1人で商売を続けることにしました。

そのタイミングでアジア料理屋から、ベトナム料理屋専門店へと転換しました。

ケージー:そんな状況から、どうやってお客さんを増やしていったんですか?

茂木さん:とにかく地道にやるしかなかったですね。SNSもまだない時代です。駅前に看板を出したり、ビラを駅で配ったり。1人しかお客様が来ないような日もありましたが、1人で働いていたのでのんきにやっていました。しかし開業から1年くらいが経ったある日、「なにこの店、日本初生麺フォー?おもしろいね。こんど取材させてくれない?」と、たまたま市場に入ってきたテレビ局のディレクターに話しかけられ、取材が入ったんですよ。そこからですね。認知されるようになったのは

ケージー:なるほど! メディアに取り上げられたことで、流れが変わったんですね。

茂木さん:そうですね。テレビに出た後、雑誌やグルメサイトでも紹介されるようになって、そこから少しずつお客さんが増えていきました。でも、やっぱり決め手になったのは「フォーの美味しさだったと思います。最初は興味本位で来たお客さんが、「ここのフォー、美味しい!」ってリピーターになってくれて、そこから広がっていった感じですね。

チョップスティックスさんの内観
チョップスティックスさんの内観

ケージー:すごい! まさに味で勝負して、お客さんを掴んでいったんですね。

茂木さん:そうですね。「美味しさで勝負するしかない」って思ってましたから。

ベトナムの大衆酒場スタイル「ビアホイ」への挑戦

チョップスティックス オーナー茂木さん②
チョップスティックス オーナー茂木さん②

ケージー:高円寺での成功を足がかりに、次々と店舗を展開されましたよね。最初に出した2号店はどこだったんですか?

茂木さん:吉祥寺ですね。高円寺の店が軌道に乗ってきたタイミングで、次のチャレンジをしたくなったんです。吉祥寺は人通りも多いし、飲食店も活気があって面白そうだなと思って。

ケージー:なるほど。やっぱり、1号店での手応えがあったからこその決断だったんですね。

茂木さん:そうですね。ただ、当時はアジア料理っていう業態自体が珍しかったので、吉祥寺でも最初は手探りでした。

ケージー:でも、結果的に成功されて、さらに店舗展開が進んでいくわけですよね。

茂木さん:はい。その次が中野で、その後は恵比寿、下北沢…って感じで広がっていきました。途中で「ビアホイ」っていうベトナムの大衆酒場スタイルの店も始めましたね。

ケージー:あっ、ビアホイさん! あの業態は、普通のチョップスティックスさんとはまた違ったコンセプトですよね?

茂木さん:そうそう。ベトナムには「ビアホイ」っていう、安いビールを飲みながらつまみを楽しむ文化があるんですよ。それを日本でも再現したくて、気軽にベトナム料理とお酒を楽しめるお店にしました。

ケージー:確かに、ビールに合うベトナム料理っていっぱいありますもんね。

茂木さん:そうなんですよ。フォーやバインミーだけじゃなくて、「ベトナムの食文化全体」を伝えるお店を作りたかったんです。

ケージー:業態を広げることで、より多くの人にベトナム料理の魅力を伝えられるってことですね。

茂木さん:まさにそれです! やっぱりチョップスティックスのような「フォー専門店」だと、どうしてもフォーを食べたい人しか来ない。でも、「ベトナム料理をつまみながらお酒を飲める店」があると、もっと幅広い人に楽しんでもらえるじゃないですか。

ケージー:確かに! ベトナム料理に馴染みがない人でも、居酒屋スタイルなら入りやすいかもしれないですね。

茂木さん:そうそう。それに、ビール片手にベトナム料理を食べてもらうと、「あれ、意外と美味しいな!」って思ってもらえることが多いんです。そこからフォーやバインミーにも興味を持ってくれたら、嬉しいなって。

ケージー:戦略的ですね! でも、店舗を増やすのって大変じゃなかったですか?

茂木さん:めちゃくちゃ大変でしたよ(笑)人材の確保とか、味のクオリティを保つこととか、やっぱり1店舗だけやってるときとは全然違う苦労がありましたね。

ケージー:でも、それを乗り越えて、ここまで広げてこられたんですね。

茂木さん:そうですね。まあ、試行錯誤しながらですけど(笑)

ベトナムのパン文化を日本へ—「エビスバインミーベーカリー」の挑戦

チョップスティックスさんの外観
チョップスティックスさんの外観

ケージー:最近恵比寿にあるエビスバインミーベーカリーさんも茂木さんの会社がやられてるというのを知って、びっくりしました!

茂木さん:そうですね。バインミーをもっと本格的に日本で広めるために、専用のパンを作ることが必要だと考えたんです。日本のバインミーは、フランスパンに近い硬めのものが多いですが、本場のバインミーは外はカリッと、中はふんわりと軽い食感が特徴です。

ケージー:確かに、日本のバインミーはフランスパンに挟んでいるものが多い印象がありますね。

茂木さん:そうなんです。でも、本当に美味しいバインミーサンドを日本でも食べてもらうためには、パンからこだわらなきゃいけない。そこで「エビスバインミーベーカリー」を立ち上げ、バインミーサンドに最適なパンを自社で製造することにしました。

(注意 バインミーとは、ベトナム語で「パン」という意味なので、バインミーサンドという表現にかえました)

ケージー:なるほど! パンの製造から手がけることで、本場に近いバインミーを再現しようと。開発は順調でしたか?

お店で生地から作った出来立てバインミー①
お店で生地から作った出来立てバインミー①

茂木さん:いや、めちゃくちゃ大変でした(笑)

本格的なバインミー(パン)作りを学ぼうと、日本人とベトナム人の社員2名をベトナム北部ヴィンフック省の省都ヴィンイェン市の老舗ベーカリーに住み込み研修に行ってもらいましたが、そこで学んだ方法を日本で試そうとしても、材料・機械・気候が違うので、ぜんぜんうまくいきませんでした。ベトナムの師匠に電話したりし、どうしてうまくいかないのかを相談しながら試作を何度も繰り返し、水分量や発酵の具合を細かく調整して、ようやく納得のいくものができました。

ケージー:まさにゼロからのスタートだったんですね。お店での反応はどうでしたか?

茂木さん「パンが違うと、こんなに美味しくなるんだ!」という声をたくさんいただきましたね。やっぱりバインミーはパンが命なので、本場の食感に近づけたことで、より現地の味に近づけたと思います。

お店で生地から作った出来立てバインミー②
お店で生地から作った出来立てバインミー②

ケージー:バインミーを日本にもっと浸透させる上で、今後やってみたいことはありますか?

茂木さん:今はエビスの1店舗だけですが、今後はもっと多くの人にバインミーの魅力を知ってもらうために、販売チャネルを広げていきたいですね。

チョップスティックスさんの挑戦と未来の展望

チョップスティックス オーナー茂木さん③
チョップスティックス オーナー茂木さん③

ケージー:ここまでのお話を聞いていると、茂木さんが試行錯誤を重ねながら、日本でフォーやバインミーなどのベトナム料理を広めてきたことがよく分かりました。でも、まだまだ「これから」という言葉もありましたよね。今後、新しく挑戦したいことや、考えている展開はありますか?

茂木さん:まだベトナム料理を食べたことがない人に知ってもらい、たくさんの人に気軽にベトナム料理を楽しんでもらえるようにしたいです。ベトナム料理と言うと、「パクチーくさい」とか、辛くないのに「辛い」とか、間違った印象を持たれ、避けている人も多いです。

パクチーを使う料理は一部の料理ですし、パクチーなしもできます。

また、ベトナムへ行けばわかりますが、ベトナム料理って何を食べても美味しいんです。食堂やレストランはもちろんですが、そのへんの屋台で売っているものや、家庭料理もとても日本人の口にあいます。なので、もっと気軽に誰にでもベトナム料理を楽しんでもらえること。日本の食文化の中にベトナム料理を浸透させていくことに挑戦していきたいです。

ケージー:確かに、フォーや生春巻きなどを知ってる人も増えてきましたけど、その他の料理はまだ知らない人が多いかもしれないですね。

茂木さん:そうなんです。なのでその為にはもっと「誰にでも気軽に食べられる」お店を作ることも必要だと考えています。今の店舗は、どちらかというと「ベトナム料理が好きな人」がわざわざ来店されることが多いんですけど、例えば商業施設のフードコートとか、駅中の立ち食いフォーとか、ベトナム料理という垣根を超えて、「ヘルシーで美味しい料理」をカジュアルに食べたいという人に広く楽しんで頂けるような店を作りたいです。

チョップスティックス オーナーと対談するインタビュアー②
チョップスティックス オーナーと対談するインタビュアー②

ケージー:フードコートや駅中なら、もっと手軽に楽しめる機会が増えそうですね!

茂木さん:そうですね。やっぱり、家賃の問題もあって、新しく飲食店を出すのがどんどん難しくなっているんですよ。だから、これまでと同じようなやり方だけじゃなくて、新しい形を模索しないといけないなと。

ケージー:なるほど。じゃあ、今後は従来の店舗展開だけじゃなくて、新たな形での出店も視野に入れつつ、よりたくさんの人にベトナム料理を広めていく感じですね?

茂木さん:そうですね。あとは、日本のベトナム料理のイメージをもっと変えたいとも思っています。

ケージー:ベトナム料理のイメージですか?

茂木さん:はい。例えば、タイ料理って「エスニック料理の代表」みたいな感じで、日本でもしっかり地位を確立してるじゃないですか。でも、ベトナム料理ってまだ「フォーのあるエスニック料理の一種」ぐらいの認識の人が多いんですよね。もっと「ベトナム料理はベトナム料理」として、しっかりとしたジャンルとして認識されるようにしていきたいんです。

ケージー:確かに、タイ料理と比べると、まだベトナム料理の認知度はそこまで高くないかもしれないですね。

茂木さん:そうなんですよ。でも実際に食べてもらうと、「あれ? これ、すごく食べやすいじゃん!」ってなることが多いんです。だから、もっとベトナム料理の魅力を発信して、「なんとなくエスニック料理の一種」じゃなくて、「ちゃんと日本に定着したベトナム料理」にしていきたいですね。

ケージー:なるほど! そのために、新しい形の業態も考えつつ、ベトナム料理の認知度をさらに高めていくと。

茂木さん:そうですね。まだまだやることはたくさんありますけど、ベトナム料理がもっと日本の食文化の一部になるように、これからも挑戦を続けていきます!

ケージー:では、最後にこの記事を読んでいる皆さんへメッセージをお願いします!

チョップスティックス オーナー茂木さん④
チョップスティックス オーナー茂木さん④

茂木さん:もっとベトナム料理を身近に感じてもらえたら嬉しいです。フォーやバインミーはもちろん、ブンチャーやベトナム風おこわなんかも、実はすごく日本人の口に合うんですよ。もしまだ試したことがない人がいたら、ぜひ一度食べてみてほしいです!

そして、できればお店にも足を運んでもらえると嬉しいですね。僕らのお店はどれも、できるだけカジュアルに楽しめるように作っています。ベトナム料理って、特別な日に食べるものじゃなくて、普段のランチやディナーに気軽に取り入れられるものなんだって、もっと知ってもらえたらいいなと思っています。

ケージー:素晴らしいですね! まさに「ベトナム料理を日本の食文化の一部に」という思いが伝わってきます。

茂木さん:ありがとうございます! まだまだ道半ばですが、これからも美味しいベトナム料理を日本の皆さんに届けられるように頑張っていきます!

インタビュアーから一言

チョップスティックス・グループは、日本で本場のベトナム料理文化を根づかせようとする情熱と挑戦の軌跡が詰まった、唯一無二のお店だと感じました!

代表の茂木さんの言葉からは、単にベトナム料理を再現するのではなく、日本の食文化に根づかせたいという強い想いと、料理を通じて新しい価値を届けたいという信念がひしひしと伝わってきました。

「美味しさで勝負するしかない」と語る茂木さんが、日本初となる“生麺フォー”を実現させるまでの数々の試行錯誤と、ベトナム現地での修行は、飲食店経営を「ベトナム料理の文化を広げる行為」として捉えているからこそできた挑戦なのだと実感しました。

チョップスティックス高円寺本店の生麺フォー
チョップスティックス高円寺本店の生麺フォー
チョップスティックス下北沢のコムガー
チョップスティックス下北沢のコムガー
エビスバインミーベーカリーのバインミー
エビスバインミーベーカリーのバインミー

実際に訪れた店舗の様子や、茂木さんの想い、そして生麺フォー完成までのストーリーは別記事で詳しくご紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください!

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